今回のシンポジウムは、始めからオンラインで開催する事を考えていました。ご近所を対象としているということで参加者が集まるか心配な面もありましたが、この時期になるとオンラインを体験される機会も増えたようで、何とか25名の参加を得ることができました。あまり大規模な広報もできなかったのですが、関係者のメールによる呼びかけなどを通して少し広域からの参加もあり、外に向けて新たな出会いが広がる可能性が感じられたのがオンラインが地域の活動に与えるプラスの面だと思いました。反面、デジタル環境が整っていない高齢者の方にはハードルが高かったようです。それでも頑張って参加してくださった方もありました。従来の地域の集会への動員が開かれたネットワークに置き換わる地域活動の転換点が今なのかも知れません。
さて、シンポジウムの内容ですが、いくつか興味深いことがありましたので報告させて頂きます。
講師は、世田谷区玉川総合支所地域振興課長の荒学さんと、世田谷NPO防災アクションの宮崎猛志さんにお願いしました。今年度の避難所運営訓練は、コロナ禍の中で中止になりましたが、非常時の対応として避難所に対する考え方が大きく変化しているようです。災害も予測のつかない地震被害やある程度予測のつく水害被害など多様化していますが、避難の考え方に「自主避難」、「縁故避難」、「在宅避難」などがあり、最新の考え方では何が何でも避難所に行くことではなく、在宅避難がクローズアップされているとのことでした。
また、避難所を考える時に「避難行動」の場としての避難所の役割と「避難生活」の場としての避難所の役割を混同して議論しないことの指摘も重要だと思いました。これからの避難所運営は、在宅避難を前提とした地域支援拠点としての避難所であるとの認識は、わたしたちの地域の特性にも合った考え方であることを学ぶことができ、意義あるシンポジウムとなったと思います。
最後に非常時の情報源として、テレビのdボタンの活用が有効であることもお伝えしておきたいと思います。(伊藤雅春)
(玉川まちづくりハウスニュース「みんなでホイッ!」2020年12月号より)