ねこじゃらし公園

世田谷区立ねこじゃらし公園
東京都世田谷区奥沢7-46-5

 ねこじゃらし公園は、区民の要望からワークショップ形式による本格的な住民参加の方法でつくりあげられた公園です。玉川まちづくりハウスはワークショップのお手伝いをさせていただきました(くわしくはハウス発行の冊子『ねこじゃらし公園の10年』をご覧ください)。
 1986年から8年をかけて1994年4月にオープンしました。「公園はできてからが大事、皆で見守ろう」と公園の管理をするための住民組織「グループねこじゃらし」ができ、区と管理協定を結んで活動しています。

ねこじゃらし公園物語

 世田谷区奥沢7丁目に世田谷区の資材置き場として使われていた土地がありました。1988年、区がこの土地に公園を作る計画を持っていることを知った近隣住民がこの土地の有効利用をしよう!温水プールを建設しよう!と話し合ったことから、今に続くねこじゃらし公園物語は始まります。
 1980年代の世田谷のまちづくりは1975年の口調の公選実施を契機に、例えば用賀プロムナード(いらかみち)等の公共施設づくりや、北沢や太子堂のまちづくり推進地区等の事業として始まります。そして1987年、(一財)トラストまちづくりの前身(財)世田谷区都市整備公社まちづくりセンター設立のための調査が始まるころ、温水プール建設に動いていた住民と、住民主体のまちづくりを進めるために活動を模索していた玉川まちづくりハウスメンバーが知り合います。
 陳情請願、区議会議員へのアンケート、世田谷区への様々な働きかけをしていた住民は区内の同じ玉川地域学校内に温水プールが建設されることになり温泉プール建設を断念。しかし公園になるなら住民の意見でつくろうと玉川まちづくりハウスメンバーとともにワークショップによる公園づくりを進めることになりました。
今でこそ公共施設をつくるときに近隣住民の意見を聞くことは当たり前になっていますが、ねこじゃらし公園はワークショップ方式で計画プランが行われた日本で最初の事例です。どのように組み立てれば住民が計画づくりに参加したと実感できるようになるのか、関係者の試行錯誤が始まりました。

浄水場の公園コンペからねこじゃらし公園ワークショップへ

 ねこじゃらし公園のワークショップが実現するまでにはその前段の話があります。当時世田谷区が募集する二つの公園コンペがあり、その一つが現在環八沿いにあるぽかぽか広場でした。玉川まちづくりハウスは最初の活動としてこの公園コンペに取り組むこととし、地域の住民に呼びかけて一緒にワークショップで計画案を作り上げ応募したのです。結果は残念ながら二等となり、この提案は実現されませんでしたが、このことをきっかけとして、ねこじゃらし公園の計画づくりにワークショップ方式が取り入れられることにつながりました。

ねこじゃらし公園の5回のワークショップ

 実際の公園を実現することを目的としたワークショップに世田谷まちづくりセンターと一緒に取り組む機会を得て、2年間で5回に及ぶワークショップを実施しました。以下のテーマで行われ、その後全国に広がっていくことになるワークショップ方式による公園づくりの先駆け、手本となったのです。
 結果、「遊具のない原っぱ」のような公園ができました。公衆便所の位置決めやスケートボードにハマっている中学生との話し合いなど、今となっては懐かしい思い出です。

  • 第1回WS「御近所探検ミニウォークラリー」(1991.10.13)
  • 第2回WS「起こし絵づくり デザインゲーム」(1991.12.15)
  • 第3回WS「特大模型旗立て検討会」(1992.1.20)
  • 第4回WS「原寸確認と予算配分ゲーム」(1992.6.14)
  • 第5回WS「運営と管理を考えよう」(1993.6.24)
  • ねこじゃらし公園オープン

地域の中心の一つとなったねこじゃらし公園

 ワークショップによる計画づくりは、公園の完成がゴールではなく、できてからが始まりであるとのIさんの言葉を胸に秘め、日々の公園の運営管理はワークショップの参加者を中心に構成された「グループねこじゃらし」に引き継がれました。当時中学生として「グループねこじゃらし」に参加してくれていたKくんは目黒区役所の土木課で活躍されていると後に聞いたことがあります。
 25年目を迎え、地域の中心がほしいのであれば、みんなで世話をしなくてはならないとはエコロジカル・デモクラシーの考えを提唱しているランディ・ヘスターの言葉ですが、ねこじゃらし公園は本当に大切な地域の中心の一つとして育っていることを実感させてくれる場所となっています。

グループねこじゃらし

 グループねこじゃらしでは、地域住民が協力して公園の清掃、整備等をしています。また、公園をめぐる情報をみなさんにお伝えし、一緒に公園をそだてていこうという主旨で、毎月「ねこじゃら紙」を発行しています。ねこじゃら紙は、園内の掲示板や、近隣の九品仏まちづくり出張所でご覧いただけます。

ねこじゃらし公園へのアクセス

世田谷区立ねこじゃらし公園
東京都世田谷区奥沢7-46-5

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